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アトリエ今日このごろ


どうばんアート

2015/08/22

今思い起こしても7/27〜8/21のなつやすみフリーデイは「暑かった!」。総勢150人の子どもたちが希望の日にそれぞれ2回か4回ずつ参加するので、1コマ(2時間)10人ずつを朝と昼に40コマやり続けたのですが、うちにはクーラーがないので猛暑の中、もうみんな汗ダラダラ。毎日子どもたちに「は〜い、休憩。水分補給!」と言い続けました。

つくっている物も進度もバラバラなので、私はスタッフと子どもたちの間を走り回り、50代の身体は限界状態‥。

 

そんな苦労を乗り越えることが出来たのは、子どもたちの期待に満ちた顔とやる気、生まれる作品のすばらしさがあったからでしょう。またフリーデイには懐かしいびじゅつの卒業生たちや兄弟児も参加出来るので、毎日が新鮮でした。

みんないい顔をしていましたね〜(諸事情によりHPには子どもたちの顔をなるべく載せない様にしているのが残念です‥)

 

以下にどうばんアートのことを説明します。長くなるので興味のある方だけお読み下さいね。

 

 

今回使用したのは厚さ0.3ミリの銅板です。専門のハガネ屋さんで広いシート状のものを購入しました。0.3ミリだと幼児の力でもクラフトバサミで切ることが出来ます。クギで穴をあけたり、叩いて丸みをつけるのも楽です。

 

「どうばんはね、紙や木とちがって丈夫だし、雨に濡れても平気。クギてんてんとか温泉で絵や模様もつけられるんだよ。丸めたりもできるし、一番すごいのはずーーーっとずーーーっと何十年でも何百年でももつこと!」だとまず最初に子どもたちに話をして見本を見せました。

 

そして練習も兼ねて小さなメダルをつくることからスタート。

マジックで絵を描いて、硫黄の温泉に入れると銅は黒くなりますが、マジックの線の所だけは酸化せずキラキラのまま残ります。次はクギで吊り下げるための穴をあけました。カナヅチで軽めに叩いていくと、てんてんと跡だけついてもようもつけられること(クギ彫金)も実感した子どもたちは、いよいよ本番へ‥!

 

幼児だけは大きな丸いお皿の形をこちらで切っておいたのですが、小学生以上の人たちは創る物も選べますし形も自由。お皿も表札も風鈴もキャンドルカバーも基本は一緒です。好きな形を実物大で紙に描き、型紙としてスプレーのりで銅板に貼って自分で切りました。

 

連日カンカンカンカンカンカンカンカンとクギ彫金の音や、風鈴のアルミパイプを金ノコで切ったりボール盤で穴をあける音が響き、ここはまるで小さな職人さんたちが働く鍛冶屋のようでした。

 

お皿や表札の作品ににじみ出る子どもたちの手(心)の跡の味わい深さ!

 

風鈴の音色の涼やかさ!

 

キャンドルカバーの中に火を灯してみた時の美しさ!

 

どれもこれもいまだに、じんわりと心に蘇ってきます。作品を持ち帰った後、それぞれの家で歓迎され愛用されていることでしょうね。

 

中には立体的な鳥をつくってみたいと言って実現させた小4の男の子もいれば、忍者の鉢金(ハチマキみたいのにつける金属板)を沢山つくった中1の女の子もいます。

がんばった貯金箱や時計にも銅板ならではの存在感がありました。

「どうばんアート(金属アート)」は、他の素材にはない可能性やおもしろさを子どもたちに伝えてくれた気がします。

 

今年のテーマのどうばんアートではない「じゆうせいさく」をした人たちも、すごい大作や力作が出来ましたね。

 

みんなが大人になって歳をとって、もし自分の子どもや孫が出来たら、「これはおじいちゃん(おばあちゃん)があなたくらいの時につくったんだよ」と話してあげてほしいです。

 

 

 

 

 


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